特集記事:それでも傘は売れ続ける

シェアワークモデル事業で始まった傘のレンタル事業 「シェアアンブレラ」

開始から2年がたち、県の事業が終了した今でも、傘の注文は後を絶たない。

このシェアアンブレラの何が人々を引き付けるのか。

シェアアンブレラのその後を追った。

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平成27年4月、YCCA会員の小俣さん(仮名)の携帯電話が鳴った。
とある道の駅からの「傘」の注文だった。
注文内容は、道の駅にレンタル用に置いてもらっている「レンタル傘」の本数が少なくなったとの事。
小俣はいつものように本数と配達日時を伝え、電話を切った。

 

そもそも、YCCAは、キャリア・カウンセラーが集まり、キャリアカウンセリングに関する情報交換や働く人のキャリア支援を行う新規事業を企画し、運営することを目的とした団体だ。
なぜそのような団体が「傘」を販売しているのか。

理由はこうだ。
平成25年11月、山梨県からの助成を受け、山梨県富士吉田地域をモデルとした「シェアアンブレラ事業」がスタートした。
この事業は、ニート、引きこもりなどの社会復帰を目的とし、中間就労の場を提供することを目的としていた。
具体的な事業内容を簡単に説明すると、一般の人に傘を貸し、専用のステーションに傘を返せる仕組みの運営をYCCAが行っている。
例えば、借りるときはデポジット付きで1000円で借り、返却するとデポジット分の500円が返金される。500円でいつでも傘を借りることができ、返せる、そんな仕組みだ。
そういった仕組みの中で、レンタルから返却された傘の中には、破損した傘があったり、クリーニングが必要なものがある。これらを修理、クリーニング、梱包を行い、また、レンタル傘へと生まれ返らせる作業をニート、引きこもりの人たちに手伝ってもらい、謝金を払う、というものだ。

この「作業」の部分が「就労」になる。

聞けばずいぶんと「簡単」な単純作業と思われるかもしれないが、ニート、引きこもりの人たちが、いきなり一般企業で「働く」ことは難しく、まずは安心できる環境の中で、人間関係の構築の仕方や、働くことに必要な知識を得ながら「緩やかな労働」を経て、仕事との接点を築きなおすことが主な目的になっている。

そんな事業が始まり、2年たち、県の助成も終わった状態ながら、未だ「シェアアンブレラ」は地域に根付き、ひっそりとであるが運営が行われていた。
シェアアンブレラを利用し続けることで「地域の若者のために、何か力になりたい」という、地元の店舗や団体からの、そんなメッセージが感じられる。

だが、実際には県からの補助が終了し、シェアアンブレラの仕組みが立ち行かなくなっている現状がそこにはあった。

現在でも、傘の取引は行われているものの、ニート、引きこもりに仕事を依頼し、修理をし、再流通させるための回転資金が不足し、修理や梱包を行う事が困難となってしまっているのだ。よって、返却された傘は事務所内で保管されている状態となっている。

中間就労の輪を絶やさないために、シェアアンブレラ事業を継続できるよう模索する日が続く。

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今日も小俣さんの携帯電話には、馴染みの店舗から傘の注文電話が入ってきている。

終わり

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