背景と必要性
わが国は、戦後の飛躍的な経済発展により、先進国へと成長を遂げてきました。
その中で、技術革新や産業構造の転換等、労働者を取り巻く雇用環境が大きく変化し、それにより労働者が主体的に自身の希望や適性・能力に応じて生涯を通じキャリア形成を行いながら、企業内外で通用する職業能力を高めていかなければならない時代になってきました。
そのため、自分自身の職務経歴やそれぞれの経験においてどのような成果を上げてきたか、また、どのような自己啓発等を行ってきたかなどを客観的に振り返り、その適性・能力・希望と個別企業や労働市場のニーズとを照合し、具体的なキャリア形成の方向性を一人ひとり明確にしていく機会が重要かつ必要となっています。
個の潜在能力を引き出し、働く意識を高め生産性を上げる、自分のキャリアを磨きキャリアアップを図るなど、企業にとっても、働く人にとっても欠かせない支援が「キャリアコンサルティング」です。
キャリアコンサルタントの役割
キャリアコンサルティングとは、個人にとって望ましい職業選択やキャリア開発を支援するプロセスであり、単に個人と職業のマッチングを考え仕事を見つけるお手伝いをするだけではありません。
例えば、自分はどんな仕事に向いているのか、今の職場で自分の実力は評価されていないのではないか…、このような仕事に関わる相談を受け、適性・適職の発見など、課題・悩みに対する解決への援助をしていきます。
その中で、個人それぞれが持っている潜在的な願望や価値観の自己理解を促します。自分自身でも気付いていない能力・適性を見い出したり「何が大事か」 「何をやってきたか」 「何をやりたいか」 「すべきことは何か」 と「人生における時間の大切さ」などを振り返りながら考え、現状の自己認識や理解によって、人生の目標(ライフキャリアビジョン)に組み込まれるキャリアの目標(ワークキャリアビジョン)を作り上げていくことが主な役割です。
キャリアコンサルタントは、個人の目標に対し客観的評価を加え、キャリアビジョンとのギャップ(課題)を抱える場合は、解決するための努力や工夫などをともに考え、達成するためのプラン設計や実現へのプロセスを専門的立場から考察し助言していきます。
このように一人ひとりの意思を尊重しつつ、個の能力を最大限に発揮できるように関わりながら「実りある人生」の実現に向けて働きかけをしていきます。
キャリアコンサルタントの職域は、バランスの取れた人材開発を行うためにキャリア形成支援を企業・団体組織に提案し、導入や展開などにも関わる幅の広い役割があります。