やまなし若者サポートステーションの利用者を対象にした「若年無業者等集中訓練プログラム事業」の実施報告をいたします。
●訓練概要
実施期間:平成28年10月20日~11月18日(21日間、内合宿5日間)
訓練時間:概ね1日6時間
受講者数:10名(男性7名、女性3名)
対象受講者:過去に就業経験はあるが現在の就職活動に不安を抱えている人や、これまでに正規雇用されていない者。
●訓練の目的
受講者が抱える共通の不安である「職場でのコミュニケーション」や「社会人基礎力」を高め、就職に向けての準備を行いました。
職場での人間関係の構築が上手くできないために辛い経験をしたことからくる「就職への不安」を解消し、自分のコミュニケーションスタイルに自信を持ち、就業への一歩を踏み出すカリキュラム内容を設定しました。
また、「ビジネススキルの向上」「職場に溶け込めない要因の気づき」も目的としました。
●目標設定
受講者自らが、訓練プログラムの分野ごとに目標を設定しました。
具体的には「受講全体」「グループワーク」「コミュニケーション」「合宿」「職場体験」の分野を分け、それぞれの分野で「目標設定」「課題確認」「振り返り」「感想」を振り返り、自己確認作業を行いました。
●訓練終了後の方向性
訓練修了後は、プログラム内で気づいた「自己の特性や課題」などを整理し、今後就職に必要な部分の強化を図っていきたいと考えています。また、訓練の中で、本人が「やってみたい」「できる」と感じたことを確認し、どんな仕事に結びつけられるのか検討し就職支援を行っていきます。
その他、訓練期間中に得た、他の受講者からのフィードバックを客観的に伝え、本人の自信につながる支援を行います。また、就職した後の不安を持っている利用者に対して、コミュニケーションスキルだけではなく、生活の改善、職業人意識を含めたビジネススキルアップの支援も行っていきます。
課題や特性は受講者それぞれで違うため、個々に計画を立て就職支援を進めていきます。
●訓練プログラム実施内容
【自己開示】
受講者が自然と打ち解け合える環境を作り、安心できる環境の中で自分を表現し、いつもの自分と違う自分を表現することで、自分の新たな面を発見できるようなワークを実施した。自分を知ることで、他者と、どのような関わり方がお互いに望ましいのかを学んだ。また、自分が他者に与える影響や、自分が見えていない部分(良い面)を他者からフィードバックしてもらうことで自信をつけた。
【コミュニケーション能力の向上】
組織の中で、どのようにして他者との関係を構築するかを中心に学んだ。自分が当たり前と思っている言動や考え方について他者を通じて再認識し、課題を発見する機会としたり、他者に関心を持つことの重要性、関心を持つことによる人間関係の広がりについて学んだ。また、「場」を理解し、場に合った発言や行動ができるようケーススタディを行った。
※参考書籍 コミュニケーション検定テキスト。
【パソコンスキルの向上】
基本的なパソコンの操作の確認及び向上を目指した。応募書類の作成及び、表計算ソフトによる合宿に関する計画書の作成を行った。
【チームワーク力の向上】
他者を理解し、共同で作業する意識の向上を目指した。合宿での行動計画の立案や役割分担を自分たちで行い実行した。また、職場体験においても、それぞれが持つ能力を活かし協力し合いながら業務にあたった。
【合宿】
自宅以外の場所に身を置き、他者と生活をする、生活のリズムを整える、自分の事は自分で行う経験をし、集団生活の中で自発的な行動を行うことの大切さを学んだ。また、組織の中で他者と生活する、学習することの難しさや楽しさを経験し、共に行動し、成し遂げることで達成感を味わうことができた。
【職場体験】
受講者それぞれが興味を持った分野(軽作業、製造業、販売業、美容業、営業)に3日間従事した。
これまで思い描いていた企業での働き方を、実際の職場で働くことで改めて「働くこと」に対して具体的に認識できた。また、今まで体験したことのない仕事にチャレンジし、就職へ一歩踏み出す勇気を持つこと、職場で良い評価やフィードバックを受け、達成感を味わうこと、働くことで自信を持つことができるようになった。
●まとめ
訓練開始当初は緊張し、言葉を発することや意見を述べることに対して抵抗があったが、コミュニケーションワークショップや検定テキストを進める中で、早い段階で自己発信することの大切さを学び、活発に意見交換や自己開示ができるようになりました。その後、次第に笑顔が見られ、日々笑い声の絶えない訓練となりました。
集団の中で自分がどのように人間関係を構築するかを訓練の中で意識的に学び実践していった結果、人とのかかわりが持てずに孤立してしまう受講者が出ることはありませんでした。ただし、慣れない環境の中、精神的に負担を感じる者も少なくなく、個別に相談を受けながら受講のフォローを行う場面もありました。